令和4年2月22日(火)に、附属函館小学校児童向けと保護者・教員(函館四校園)向けの2部構成で「犯罪を生まないために」~今の時代を生きる子供たちへの情報モラル教室~の講演を開催しました。本校もGIGAスクール構想による一人一台端末の導入により、以前から実践を積み重ねてきたタブレット活用が一気に日常化するとともに、感染症対策等に伴い自宅における活用についても検討を進めていく必要が生じています。それと共に、児童の人間関係の複雑化とトラブルの主たる現場が校外へと移行する見通しのもと、最先端の情報による研修の必要性から、専門家からの助言を求めることにしました。
講師の佐々木成三氏は、元埼玉県警捜査一課でデジタル捜査を専門としており、「犯罪を生まない社会」をつくるために、特に子供たちへの啓蒙活動に尽力されています。最も興味をひく考え方の一つに「思い込みからの脱却」が挙げられます。前半は、簡単なゲームを通して、情報にだまされる心理を解き明かすとともに、子供たちを対象とした犯罪の手口を、事件捜査を担当した専門家の視点で解説され、後半はこれから拡大していく最新の犯罪についてお話されました。
今回、佐々木氏から本校が学んだことは、3点あります。
1点目は、犯罪を生まない社会は「面」の力でつくられるということです。情報に関わる犯罪は、日々巧妙化が進み、学校や保護者が個別対応していては早晩行き詰ります。また、子供たちが情報を扱う主体者として、犯罪に巻き込まれない意識を高めることも同時に求められます。これらのことを、学校・地域・自治体など組織全体で意識を醸成し対応することが、犯罪予防につながると学びました。
2点目は、人と人とのコミュニケーションが犯罪に巻き込まれない最大の手立てであるということです。情報化社会の主体者として生きるからこそ、その中で「相手のことを想像する力」が必要であるということです。情報の表面だけを捉え判断することがないような関わり方が、日常的に必要であることを学びました。
3点目は、「逃げない」ことです。犯罪から逃げないのではありません。情報化の波からは当然逃げることができないということです。子供たちは、家庭・学校のほか、あらゆる場面で情報端末を利用します。使わせないという選択肢は、極限られた範囲にしか効果がないのが現状です。そうであれば、子供一人一人が柔軟な対応力を備えることができるよう、我々大人が乗り出していく必要があることを学びました。