9月下旬から11月初旬にかけて、釧路校の境智洋・松原尚志両教授の指導のもと、学生・大学院生11名が釧路町内の約100万年前の地層から鯨の化石を発掘し、同一個体に由来する多数の部位の化石が採集されました。そして、いくつかの標本のクリーニング・保存処理作業が完了し、公開できる状態となりました。
発掘調査は9月29日から11月8日にかけての9日間に、釧路校の学生・院生ボランティア(以下、「学生たち」)11名(のべ26名)の参加を得て行われました。
松原教授によるクリーニング作業の結果、同一個体に由来する前・後頭骨、左下顎骨(前方約1/2が欠損)・右下顎骨、頸椎、肋骨(10本以上)などの産出が確認できました。
下顎骨の特徴から、本標本はヒゲクジラ類のナガスクジラ科の種であると考えられます。現在のナガスクジラ科には2属9種が含まれますが、多くの種ではいつ地球上に出現したのか、はっきりとは分かっていません。
今回、釧路校の学生たちにより発掘された鯨の化石は、道東の新第三紀(2303万年前〜258万年前)〜第四紀更新世(258万年前〜1.1万年前)の地層からとしては最も保存状態の良い標本となります。今後のクリーニング作業と分類学的研究の進展により、ヒゲクジラ類の進化を研究する上で、重要なデータをもたらすことが期待されます。