本学は、平成17年度に制定した大学憲章の中で本学の人材養成の理念を明確にし、この理念を実現するために平成18年度に大規模再編を行い、教員養成を充実させ、本学の使命である教師力育成を確実に果たすために、授業改善、カリキュラム改善等の改革を推し進めてきた。その一環として、「自己成長力を高めるチェックリストの開発」に取組んだ。
このチェックリストは、教員養成課程の学生に修得させるべき能力を規定し、学生にとっては、自己の能力を評価するための尺度、教育実習の手引き、学習計画作成のためのガイド等として役立ち、大学教員にとっては、学生の評価、学生指導の手引きとしても使用することができ、本学の教員養成の質を高める上で重要な機能を果たしてきた。
しかし他方で、再編後のこの2年間に、新カリキュラムおよびチェックリストにも改善を要する問題のあることが明らかになってきた。新カリキュラムの問題点は、理論と実践の結びつきが「教育実践フィールド科目」に限定されているということ、チェックリストの問題点は、項目が網羅的で分量が多い、力量形成の段階ごとに並べられていない、授業科目との関連が不明確であるということ、が挙げられる。

以上を改善し、再編後の本学が目指した教員養成-本学のキャリア教育-をいっそう向上させるために、本取組においては、次のことを行う。
3.電子ポートフォリオを利用して学生指導体制を充実・徹底する。
本学の大学教育情報システムをカスタマイズし、WEBを利用して、大学教員、教職スーパーバイザー(大学と学校現場の連携を図る特任講師。深い現場経験を持つ退職校長などに委嘱)、実習校指導教員等が学生についての情報、評価等を交換し、協力しあいながら一体になって学生を指導する体制を構築する。そして、これらのやりとりのすべてを蓄積し、学生の成長のあとを記録しておく仕組み(「電子ポートフォリオ(教師用)」)を作る。また、教員と学生間でインタラクティブに意見交換し、対話できるような仕組みを作り、その対話等のすべてを「電子ポートフォリオ(学生用)」に記録できるようにすると同時に、学生のレポート、論文等の学習成果のすべてもここに記録する。このような「電子ポートフォリオ」の仕組みを構築することによって、学生指導の充実ばかりでなく、大学教員の学生指導のあり方を反省し、教育力を向上させる手立てとする。