ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

教育大学園情報誌33号

保健管理センター発コロナ禍のメンタルヘルス対策新型コロナウイルス感染症が流行して以来、私たちは日常生活を制限され、大きなストレスを感じています。今何が起きているのか、そして私たちに何ができるのかをまとめました。なぜコロナ禍はストレスなのか トラウマ研究の第一人者であるヴァン・デア・コーク博士は、今私たちは、トラウマ(心的外傷)が起こりやすい前提条件がそろっている時期にいると指摘しています。その前提条件とは以下の通りです。・予測がつかないこと ・動けずにいること・人とのつながりを失うこと・麻痺してボーッとしてしまうこと・時間と連続性の感覚を失うこと・安全感を失うこと・目的意識を失うこと このような条件があると、人はトラウマを被りやすくなるのですが、確かにこれらは今私たちが体験していることによく当てはまっているように思われます。コロナ禍で生じやすい心理的反応 このような状況に置かれると、個人のこころには以下のようなさまざまな反応が生じやすくなります。・自分の体調や学業や将来への心配・自由が制限されることによる怒りや不安・周囲の人が感染しているかもしれないという心配・最悪な事態を考えてしまい、思考が現実離れしたり、落ち着きを失ったり、恐怖が強まったりする・自分が潜在的な感染の原因となったかもしれないと自分を責める・他者との交流が制限されることによる孤独や寂しさ・イライラしたり、腹を立てやすくなる心穏やかに過ごすヒント これらの心理的反応が深刻なトラウマになってしまう前に、個々人でできることがあります。朝日新聞が複数の専門家への取材をもとにまとめた「心穏やかに過ごすヒント」は大変参考になります。・いつも通りの時間に起き、日課を積み重ねる・電話やSNSで人とのつながりを保つ・できないことよりも、できることに目を向ける・「小さな達成感」を大切に・いつもはできないことを試してみる・新型コロナの情報から離れる時間を持つ・読書、音楽を聴くなどリラックスできる活動を自分でコントロールできることを見つけましょう 感染症の流行自体は個人の力によってコントロールできないので、無力感を感じることもあるでしょう。そのような時は、自分がストレスを感じていることを素直に認めたうえで、日々の生活の中に自分でコントロールできることを見つけてください。そうすれば私たちはこの困難な状況を何とか乗り切ることができるのではないかと思います。みかみけんいち(保健管理センターカウンセラー・三上 謙一)参考Trauma Research Foundation「新型コロナウイルス感染症(Covid-19)世界流行の中、自分たちのメンタルヘルスを大切にする ベッセル ヴァン・デア・コーク博士からのメッセージ」(https://www.youtube.com/watch?v=ufJ3aY8tdBE)日本赤十字社「感染流行期にこころの健康を保つために~隔離や自宅待機のために行動が制限されている方々へ~」(http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/200327_006138.html)朝日新聞2020年4月11日(土)「新型コロナ ストレスをためない生活は」22