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概要

教育大学園情報誌31号

7 Autumn/Winter 2019 No.31 的な入り口とはまた違った雰囲気でした。 保存されている中で一番古いアルバムは、一九一八(大正七)年のものでした(写真③)。今から百年以上前の本に触れると思うと、繊細に扱わなくてはと思うと同時に、とてもワクワクします。現代の卒業アルバムの表紙のように、表題があったり、きれいな風景が描かれたりではなく、ただ黒い無地のものでした。中をめくってみると、制服か、ちゃんちゃんこを着た無表情の坊主頭をした学生の個人写真が並んでいます。当時の校舎正面図(写真④)は、西洋風のデザインです。また、正面に門が取り付けられており、現在の開放大正01一九九六(平成八)年のアルバムは、ほぼ現在と同じ形態です。はじめの方のページには学校行事などの写真があり、次に個人写真が並び、さらに通学風景などの様子が写され、それぞれの学生生活がより分かりやすいものとなっていました。この時の校舎は、もう現在と同じ状態になっています(写真⑦)。 最新の二〇一八(平成三十)年のアルバムをのぞいてみると、とても個性豊かな内容になっています。個人写真は、撮影場所がゼミ室や校舎外であったり、好きな本や研究に関わる道具を持っていたりと、それまでと比べて、とても自由な形態で撮られています。アルバイト先の集合写真や、飲み会の写真など、先輩方が学生生活を楽しく過ごしてきた様子がうかがえます。 レポーターの私は令和初の卒業生になります。四年間を思い返すと、たくさん勉強して、たくさんの友達に囲まれて楽しく過ごした光景が浮かんできます。これから作られる卒業アルバムに写る自分も、歴代の先輩方のように、キラキラした笑顔になっているといいなと思いました。平成03内容との差を感じます。 一九四五(昭和二十)年あたりの卒業アルバムを探してみると、一九四六(昭和二十一)年のものが抜けており、次が一九四七(昭和二十二)年のアルバムになっています。終戦直後であるこの年は、もしかすると学徒動員などで学生たちが駆り出されたり、さらに敗戦を迎えて卒業どころではなかったのかもしれません。北方教育資料館には、出征した卒業生や当時の在校生をしのぶ写真や寄せ書きなどの記録も残されています。 昭和に入って最初のアルバムは一九二七(昭和二)年のものでした(写真⑤)。大正時代のアルバムと同様に、中には、制服か、ちゃんちゃんこを着た坊主頭の学生の個人写真がズラリと並んでいました。数人の顔写真の下には、「死亡」と書かれており、現在残されているアルバムは卒業生からの寄贈となっているため、寄贈者が亡くなった方のお名前を記していたのかなと想像します。この年の校舎正面図は、前出の大正三年と特に変わりありません。 アルバム以外のものについても少し紹介しましょう。写真⑥は一九三三(昭和八)年度の入試問題です。手書きで数学の問題が書かれています。文字や数字は丸みを帯びていてかわいらしい印象です。現代の入試問題と比較してみると、簡単な問題が多く、当時の学習昭和02 いかがでしたか。卒業アルバムを実際に手に取ってみると、ポストカードが出てきたり、個人のメッセージが書かれていたりと、毎度違った楽しさが味わえ、次はどんな驚きが待っているのだろうと期待を膨らませながら見ることができました。また、建物内の空気やにおいはとても独特で、ちょっとほこりっぽいけれど、静まり返ったなかにひんやりとした空気が流れており、視覚だけではなく五感から歴史を体感でき、タイムスリップしたかのような気分になります。今回紹介しきれませんでしたが、北方教育資料館には、他にもたくさんの資料や作品がありますので、函館を訪れた際には「北方教育資料館」で函館キャンパスの歴史を感じてください。レポーターの声函館校・国際地域学科・地域教育専攻4年水口 史菜(みずぐち ふみな)北方教育資料館の中は特別な雰囲気で、異世界に来たような気分になりました。昔も今も、卒業アルバムから伝わってくることは、学生生活はやはり人生の夏休みといわれるくらいに楽しいものであるということです。皆さんもぜひ立ち寄ってみてください。大正時代の校舎大正7年の卒業記念アルバム現在と変わらない平成8年の校舎昭和8年度入試問題昭和2年の卒業記念アルバム●?●?●?●?●?