ブックタイトル教育大学園情報誌29号_電子書籍
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教育大学園情報誌29号_電子書籍
実際に親子キャンプにも参加し、子どもたちの自由な遊びを体験してみたのですが、とてものびのびした空間で、子どもたちが生み出す「遊び」に目からうろこでした。このような場所や機会を教育と結びつけて、もっと発信していきたいと思いました。インタビュアーの声0302札幌校・教員養成課程・関口 実子(せきぐち みこ) 学校教育専攻・教育心理学分野3年年齢が上がるにつれ、自然の中で遊ぶ機会はほとんどなくなるので、このようなキャンプはたくさんの子どもたちや仲間、自然と触れ合うことで心も体も健やかに育つステキな場所だと思いました。久々に草の上を駆け回って楽しかったです(笑)。インタビュアーの声札幌校・教員養成課程・芸術体育教育専攻・山縣 まる子(やまがた まるこ) 図画工作・美術教育分野1年札幌キャンパス親子キャンプにかける思い平野先生と教育福祉村えて育て収穫して食べるまでの喜びを知ることができる農業体験や、夏には小果樹の摘み取りなどを体験できます。昔、札幌市内の小学校教員をやっていらした菊池さんは、一九七〇年代から八〇年代にかけて児童・生徒の不登校問題が増加したことをきっかけに、子どもたちが通いやすいような新しい学校を自分たちでつくろうと活動を開始しました。最初、なにもなかったこの丘に、水道と電気を引っ張るところからスタートし、一〇年くらいは畑や施設づくりに追われる日々だったそうです。今年で創設二十三年になります。現在では、札幌校、岩見沢校、釧路校、札幌学院大などの大学からも学生が参加しており、授業の一環として実習に来る小・中学校が増えてきているそうです。 平野先生が余市教育福祉村で親子キャンプを実施するようになった経緯には、大きく二つのきっかけが影響しています。 一〇年ほど前、当時、子育てをしながら余市から通っていた大学院生に「私が手伝っている素敵なところがある」と声を掛けられたのが最初のきっかけです。元々フリースクールやフリースペースの運営に携わっていた平野先生は話を受け、そのNPOの幹事を担うこととなりました。 また、ことばの教室に所属する教員らが主催の中心となり、通級学級に通っていた子たちとキャンプを行っていました。しかし、教員と児童という関係の中で行うキャンプには、けがをさせたときの責任問題、運営の困難さなどの課題がありました。そこで、「ことばを育てる親の会 北海道協議会」の話を受け、教育大学の学生と共に教育福祉村の広大な土地でのびのびと遊びを発展させることができるような親子キャンプをスタートさせることになりました。 親子キャンプという名前の通り、キャンプを行うときは親子共に参加してもらいます。平野先生は「普段は、子どもが何をしでかすか目を離すことができず、つい何でも禁止してしまうことがあります。子どもたちを学生に預け、親たちには自由になれる時間を提供し、親同士が情報共有できる場にもしてほしかった」と狙いを話します。 「子どもたちにどんな障がいがあり、どんな特性を持ち、どのような困難を抱えているかは特に事前に学生たちに伝えることはしない」と話す平野先生。あえて事前情報を与えなくても教育大学の学生は臨機応変に対応できるといいます。 しかし、学生は一つだけ注意しなければならないことがあります。それは「遊びを邪魔しない」ということです。平野先生は「二泊三日の親子キャンプの間はどんな遊び方をしてもいいことにしています。坂に川をつくってもいいし、ダムをつくっても誰も怒りません。年に四回だけ遊びたいことを遊びたいだけ遊ぶことができる環境をつくってあげることで、子どもたちは親子キャンプを心から楽しみにしています」と語ります。そういった空間をつくることで、いつもは全く謝ることをしない子が素直に謝れたり、キャンプを楽しみにしている子が普段の勉強も頑張ることができたりするそうです。 最後に平野先生は「こんなことを学んでほしい、こんな成長を望んでいるなどは考えておらず、何も期待していない。どんなことが起きるか分からないから楽しいのです。学生にも何も期待しないことで、『大学生だって失敗するんだから大丈夫!』という姿もあえて見せていきたいです」と嬉々と話しました。子どもたちと遊ぶ学生手づくり水路にさらに工夫を凝らす5 Autumn/Winter 2018 No.29