ブックタイトル教育大学園情報誌29号_電子書籍

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教育大学園情報誌29号_電子書籍

保健管理センター発セクシュアル・ハラスメントセクシュアル・ハラスメント(いわゆるセクハラ)という言葉が日本で使われるようになって30年近く経ちました。しかし、いまだにセクハラに関する報道をよく目にします。セクハラとは何かをもう一度整理しておきましょう。セクハラとは 企業内や学校内等での、権力的な上下関係により行われる性的な言動と、それにより、行為を受けた側が苦痛・不快感を伴うことや就業環境・学習環境などが悪化することを指します。一般に男性が加害者、女性が被害者となりやすいですが、「男のくせに」などの性別による差別的言動も含みますので、女性が加害者、男性が被害者という場合もありますし、同性同士でも起こり得ます。簡単に言うと、セクハラとは性的嫌がらせのことです。ちなみに大学生のセクハラ被害は教員からだけでなく、学生間やバイト先でも起こることが多いです。 セクハラの分類としては「対価型」セクハラと「環境型」セクハラに分けることができます。「対価型」とは性的言動への拒否により修学上の不利益を受けることです。例えば、指導教官に性的関係を迫られ、断ると論文指導をしてくれなくなった場合がその典型です。「環境型」とは性的言動で修学上の環境が害されることです。例えば、研究室にヌードポスターが張ってある、あるいは通り過ぎるたびに肩を触られる、などが該当します。被害を受けた側の主観を重視 セクハラを定義する上で忘れてはならない点は、「受けた側の主観を重視し、加害者にそのつもりがなくても成立する」ということです。つまり、加害者側がいくら「冗談のつもりで言っただけで、セクハラをするという意図はなかった」とか「全体の文脈を考えるとあの発言はセクハラには相当しない」などと弁明しても意味がない、ということです。 コミュニケーションは発信者の「意図」を受信者がどのように「体験」するのかによってその性質が決まります。もし発信者の意図(冗談を言って笑わせたい)が受信者の体験(面白いことを言う人だ)と一致するのならば、そのコミュニケーションには何の問題もありません。しかし、冗談という意図がセクハラとして体験された場合は大きな問題になるのです。セクハラだと言われたら これは加害者とされた側からすると、非常に理不尽に思われるかもしれません。Aさんには同じ発言をしてもセクハラと言われなかったのに、Bさんにはセクハラだと非難されたのはおかしいと思うかもしれません。Bさんが大げさすぎるとか、冗談の分からない人だとか、またはBさんの方から誘ってきたのだと思うかもしれません。 しかし、覚えておいていただきたいのは心の悩みや苦しみというものは本来主観的なものなのです。さらに苦しんでいても、加害者側にやめてくださいと言えないことの方が多いのです。Aさんは苦しんでないのだからBさんも苦しむべきではないと主張するのは意味のないことです。セクハラと指摘されたら、素直に謝り、同じ言動をしないことをお勧めします。セクハラの相談を受けたら もし被害を受けている友人から相談を受けた場合は、決して友人の非を責めないでください。被害者は必ず自分を責めているものだからです。相手の話を否定せずに最後までじっくり聴いたら、保健管理センターや人権相談員を紹介してあげてください。みかみけんいち(保健管理センター・カウンセラー・三上 謙一)22