ブックタイトル教育大学園情報誌29号_電子書籍
- ページ
- 17/24
このページは 教育大学園情報誌29号_電子書籍 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 教育大学園情報誌29号_電子書籍 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
教育大学園情報誌29号_電子書籍
アトリエでの制作の様子「複式学級における算数科学習指導」に関する研究を行っている、大学院生の武田望さん。研究の一環で行っている、授業を通した子どもたちの学習についての調査や、研究の展望、ご自身の進路についてお聞きしてきました。―大学院へ進学しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか? もともと札幌校の基礎学習開発専攻(旧課程)の学部生でした。 出身が釧路というのもあり、教員採用試験は「北海道」で受けようと思っていたので、講演や研究会など、いろいろな情報を得られる機会が多い札幌で、もう二年、勉強しようと思いました。もう一つの理由は、猿払村で子どもたちと触れ合うイベントを学生と教育委員会とで開催しているのですが、先輩たちが運営していたのを引き継ぎ、他の学生に実地的な経験の機会を提供し、地方が情報を発信していける場をつくっていきたいなという思いがあったからです。―研究内容の概要を教えてください。 私が研究しているのは、一つのクラスに異学年同士の子どもがいる「複式学級」における「算数科の指導」です。先行研究はさまざまなものがあるのですが、それぞれの学年で別々に教えるものばかりでした。せっかく同じ学級内にいるのだから、学年を超えた子ども同士の学び合いが算数科教育でも可能なのではないだろうかと思い、研究を始めました。学び合いの「良さ」について調査し、授業案をつくり、一つの指導の選択肢として提案できればなと思っています。―学外で調査を行っていると聞きました。どのような調査か教えてください。 実際に複式学級の現場に行って調査を行っています。一つ前の質問で答えた「複式学級の良さ」を見つけるために授業を行い、その様子を撮影したり録音したりして授業を分析していこうというものです。石狩管内や先ほどの猿払村の近くなど、受け入れてくださるところはどこでも行こうと、広く活動しています。―同学年の子どもたちで編制される「単式学級」が一般的だと思うのですが、「複式学級」に着目した理由は何ですか? 私の地元は釧路の小さな町なのですが、自分が将来、地方を含めいろいろな地域に飛び出していくことを考えると、今の自分は何ができるかなと思いまして…… 。そこで一つの視点として「複式学級」に焦点を当ててみることにしました。また、偶然にも指導教員の佐々祐之先生が先行研究の一つに携わっていたこともあり、研究も進めやすいだろうと考えました。―小学校での「算数科教育」と中学校・高校での「数学科教育」とのつながりについてはどうお考えですか? 私は小・中・高それぞれの教員免許を持っているので、「小学校・中学校・高校で教えたい」という野望があります(笑)。「算数」と「数学」にはいろいろと違う点がありますし、小・中・高にもそれぞれの特性があるのですが、それらを自ら体感して学んでいきたいと思っています。本を読めば、その違いなどは知識として頭には入ってくるのですが、自分の経験として身に付けられないので、私としては自分の身体で学んで「納得」していきたいです。このつながりについては、小・中・高を縦断し、それぞれについて身をもって学んだ将来の自分に研究してほしいと思います。―今後、研究をどう活かしていこうとお考えですか? 将来、自分が働いているときに役立てたいというのが根底にあります。そのことを意識して研究していますね。生きているうちに「理論」と「実践」が重なってくればいいなと思います。―最後にご自身の進路についてお聞かせください。 小学校の教員になろうと考えています。一時期は「教育」とは関係ない職種に就き、さまざまな経験を積んでから教員になることも考えていたのですが、教育実習で「現場に入りたい」という思いが強くなりました。一年間しっかり現場の学級の子どもと関わりながら、自分も成長できればと思います。―今後の研究も応援しています。ありがとうございました!札幌校・教員養成課程・基礎学習開発専攻・算数グループ卒業北海道教育大学大学院教育学研究科・教科教育専攻・数学教育専修2年話=武田 望(たけだ のぞみ)さん「複式学級」における算数科教育のミライのカタチを考えるとても話しやすい方で、楽しくインタビューすることができました。明るく話す中にも、研究や教育への熱い信念が垣間見えました。「常にワクワクしていたい」と語ってくれた様子が、とても印象的です。インタビュアーの声札幌校・教員養成課程・言語・社会教育専攻・国語教育分野3 年稲葉 拓紀(いなば ひろき)ひろゆき17 Autumn/Winter 2018 No.29