ブックタイトル教育大学園情報誌28号
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教育大学園情報誌28号
アトリエでの制作の様子「認知言語学」について研究を進めている大学院生の穴田晃一さん。大学院での活動や、認知言語学は英語のみならず広い分野で活躍できるということ、将来教員になった時に自分の研究をどのように活かしていくのかなどについて、お話を聞いてきました。―大学院に進学しようと思ったきっかけは何ですか? 教員志望なので、大学院に進むと、教員免許の中で一番グレードの高い専修免許状をもらえるということ、「言語学」という分野をもっと学びたいということの、二つの理由がありました。―大学院ではどのような研究をされているのですか? 今、同じ研究室には四人の院生がいます。他の三人は「英語教育」に関しての研究をしています。私は「認知言語学」を専門とし、特に「前置詞の多義性・比喩」について深く掘り下げて、メトニミー(換喩)からメタファー(隠喩)に連続的に変異している、という研究を行っています。例えば、教育大学 対 未来大学でバスケットボールの試合があったとします。そこで「未来大学が勝ったよ」と聞くと、「未来大学のバスケットボール部が試合に勝った」と理解できますよね。このように、全部で一部を表すような語句をメトニミーと言います。日常で自然に使っていることを改めて認識することができれば、言葉を深く学べると思うのです。―言語学を研究しようと思ったきっかけは何ですか? もともとは英語教育について深めようと思っていたのですが、塾などで教える機会があり、どのような指導をしたら理解してもらえるかと考えた時に、出会ったのが認知言語学です。自分に合うと思って研究を始めてみたら、まあ難しかったですね(笑)。―英語教育と聞くと、授業を見学して子どもの様子を観察したり、授業方法を学んだりするというイメージが湧きますが、穴田さんの研究はそうではないのですね。英語教育とどのように関わっていくのでしょうか? ブラックボックスのような、まだ解明されていないものを解明して、それを教育に役立てていこうと考えれば、英語教育とのつながりもあります。比喩に関しては、国語にもつながるものですから、教育全体に関わります。―教員志望ということですが、校種はどうされる予定ですか? 高校を予定しています。―穴田さんが教員になった時には、「大学入学共通テスト」が始まりますが、「認知言語学」の知識を持って、どのように高校生の勉強方法に活かしていこうとお考えですか? どの教科でもよく言われますが、英語も暗記の連続になりがちです。そうではなく、言語一つ一つをどれだけ自分の感覚として認識し、イメージできるかだと思います。単語一つに対して一つの中核となる意味を理解し、そこから木のように、派生させてそれぞれの単語の関連を考えることができるように指導していきたいと考えています。認知言語学の中の一つに、そのネットワークがどうなっているかを研究するという方法があるので、応用して、学校現場で活かしていけたらなと思います。―その言葉の意味を認識できたり、イメージが湧くようになれば、英語が得意になるのでしょうか? 英語と日本語ではまず、言葉の解釈や捉え方が異なるので、英語使用者がどのような捉熱心に研究について語る様子え方をしているのかイメージすることができれば、上達すると思います。例えば、日本人は写真を「見たまま」のイメージで捉えるのですが、英語使用者は、写真の中に自分を入れ込むのです。そこに日本人と英語使用者の認識の違いが存在していることが分かります。―研究の魅力はどのようなところにありますか? 研究には必ず批評が出てくるのですが、その「違う」を追求して、これならうまくいく! というものをつくり上げていくのです。このつくり上げていく、というところに魅力を感じています。―ぜひ頑張ってください、ありがとうございました。函館校・人間地域科学課程・国際文化・協力専攻卒業 北海道教育大学大学院教育学研究科・教科教育専攻・英語教育専修話=穴田 晃一(あなだ こういち)さん「認知言語学」を教育現場で活かすには研究の様子中高の国語科免許を取得しようとしている私にとって、こんな所に英語教育とのつながりがあるのかと感心しました。インタビュー後にも、小学校外国語教育の話題で盛り上がり、とても有意義な時間でした。お話ありがとうございました。インタビュアーの声函館校・国際地域学科・地域教育専攻2年水口 史菜(みずぐち ふみな)自分の所属グループ以外の研究についてお話を伺う機会はとても貴重で、興味深く楽しいお話がたくさんできました。自分も残りの大学生活で没頭できるものを探したいと思います! 取材に協力してくださり、ありがとうございました。函館校・国際地域学科・地域協働専攻・地域政策グループ3年濱田 亜弓(はまだ あゆみ)17 Spring/Summer 2018 No.28