公開シンポジウム「国際地域研究の可能性―重なりあう世界 わたしは何をする?―」が函館校で開催され、約100名の学生と一般市民が参加し、盛況のうちに終えました。
シンポジウム第1部は、国際協力機構シニア・ジェンダー・アドバイザーの田中由美子氏による「ジェンダーと多様性の視点からの防災・減災・復興」の講演でした。災害時には女性、障がい者、貧困者などの被害、死者数が(男性に比べて)多いといった数値データや、避難所においてもジェンダー差別という二次被害を受けている実態について国内や世界の事例が紹介されました。さらに、このような経験から立ち上がった女性グループの活動や世界の活動についても話があり、最後には、「今後も災害は必ず起こる。そのために備えておくこと、特に多様性の視点から防災を考え災害にレジリエンスな社会をつくるために自分ができることはなにか、是非考えてほしい。」とのメッセージを送られました。
聴講した学生からは「ジェンダーや多様性の視点と防災・減災・復興をわけて考えていた部分があったため、今回お話を聞き考え方が大きく変わりました。自分自身ができることはないか、大学生という立場だからこそできることはないか、考えていきたい」という声がありました。
第2部の講演では、函館校の伊藤泰教授による「性的多様性と地域の将来―函館市パートナーシップ制度検討委員会委員としての経験から―」、尹鉁喜講師による「韓国における脱北者支援と多文化政策」が発表されました。
第3部のパネルディスカッションでは、田中由美子氏、伊藤泰教授、木村育恵教授、古地順一郎准教授が登壇し、「重なりあう世界 わたしは何をする?」をテーマに、それぞれの立場から議論され、どのような場面でも当事者意識をもって課題に向き合っていくことを確認しました。
参加した市民の方より「市民がより多く参加できるようにしてほしい。」との声をいただきました。今後も、このようなシンポジウムを開催するとともに、最新の知見を発信していきたいと思います。
なお、今回のシンポジウムの内容は、来年春刊行予定の『国際地域研究Ⅴ』に収録予定です。