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概要

教育大学園情報誌32号

動学習、運動指導に直接役立つ知識を明らかにしようとする学問です。―スポーツ運動学という授業はどのような内容ですか? 例えば、講義中に「スキップができる人は?」と聞くと、学生全員が手を挙げると思います。しかし、「スキップを教えることができる人は?」と聞くと、手は挙がらないと思います。「では、あなたたちができているスキップの動きを”教える“ためにはどうしたらいいか? インステップキックは? さか上がりは? レイアップシュートは?」というように、自分が既に「できる」運動を、他者に教えるためにはどうすればよいのかを理論的に学んでいきます。他にも、自分の運動を自分の運動感覚で振り返る力や、上手な人の運動と上手ではない人の運動を見て何が違うのかを一瞬で見抜く力といった、体育教員やスポーツ指導者に求められる専門的能力はどのようにしたら身に付くのかということを考える授業です。―実際にどのような研究を行っていますか? 現在、私が担当している器械運動の授業では、側転が「できる」学生がほとんどです。そして、中学校や高校の体育授業で中高生に側転を「教える」となった時に、学生たちは側転が「できる」だけではなく、側転を「教える」ことがでした学問のように思われていることも多いですが、他のスポーツ種目の指導法を考える上においても、非常に大切な基礎・土台となる学問です。このようなことを、今後も自身の研究を通して広めていきたいと考えています。体育教員あるいはスポーツ指導者を目指すことを考えている岩見沢校の学生たちには、このような他のスポーツ種目にも十分に活かすことのできるスポーツ運動学をぜひとも学んでいってほしいと考えています。―大学の教員を目指すきっかけはなんですか? 私は小学生の頃から体操競技を専門に続けてきたのですが、私が大学生の時に同期の学生たちが教員採用試験の実技対策の為に、私が所属していた体操競技部に、マット運動を教わりに来ました。私はその学生たちにマット運動の側転(側方倒立回転)という技を指導したのですが、上手く教えることができませんでした。そこに、たまたま体操競技部に来ていたOBの方が私の困っている状況を見て、私に代わりその学生たちに側転を教えてくれました。すると、私が必死に教えても側転ができなかった学生たちが、魔法にかかったように一気に側転ができるようになったのです。その出来事をきっかけに、そのOBの方と自分の「運動を教える力」の違いを思い知らされ、「優れた指導力とは何なのか」について深く知りたい! 研究してみたい! と思ったのがきっかけです。―スポーツ運動学とはどのような学問ですか? スポーツ運動学とは、簡単に言うと「運動を覚える」「運動を教える」ための理論です。また、その中でも競技スポーツにおける指導者や選手、体育授業における先生や生徒など、「運動を覚える人」「運動を教える人」の視点で、その人が感じ取っている運動感覚や意識内容といったものを研究し、運きなければなりません。では、学生たちがただ運動ができるだけでなく、今自分ができている動きをどのように一から覚え直せば教えることができるのかという研究を行っています。―スポーツ運動学の有用性と今後について教えてください。 スポーツ運動学は、実際に運動を行っている人、運動を教えている人の運動感覚や意識内容といったものを研究対象とするので、はっきりとした客観的な数値として表れるものではありません。だからこそ、正直に言って「わかりやすい学問」ではないと思いますので、学生からは「スポーツ運動学は難しい」とよく言われます。しかし、サッカーや野球、テニス、水泳、陸上、体操、スキー、ゴルフなど、他にもさまざまなスポーツ種目がある中で、すべてのスポーツ種目に共通して言えるのは、われわれ人間が「動きを覚える」ことが必要になる、ということです。スポーツ運動学は、運動を教えるための学問、あるいは覚えるための学問でもあるので、すべてのスポーツに共通する学問・理論です。 先ほども言ったように、私は、人はどのように運動が上手くなっていくのか、今自分ができている動きをどのように一から考え直せば教えることができるのかという研究を行っています。一般的に、スポーツ運動学は体操競技に特化岩見沢校・芸術・スポーツ文化学科・スポーツ文化専攻小倉 晃布 (おぐら あきのぶ)先生 岩見沢校講師1986年生まれ。大阪府箕面市出身。専門分野はスポーツ運動学、器械運動。競技スポーツや体育授業を行う上で、学習者・指導者の主観的な体験内容の分析などに関する研究を行っている。PROFILE「運動を覚える力」「運動を教える力」を磨くスポーツ運動学研 究ファ イルある運動は「できる」けれども、その運動を人に「教える」ことができるとは限らない。今、自分ができている運動を、どうすれば教えることができるのか。昨年、岩見沢校に着任したばかりの小倉先生からスポーツ運動学についてのお話を伺いました。インタビュアーの声岩見沢校・芸術・スポーツ文化学科・芸術・スポーツビジネス専攻3年毛利 羽音(もうり はのん)普段スポーツをしている私にとって、スポーツ運動学のお話は非常に勉強になりましたし、スポーツ運動学はすべてのスポーツに共通する学問ということで、スポーツをするすべての人がおのずと関わっている学問であると思いました。体育の教員を目指す学生にはぜひ、より深く学んでほしいです。18