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概要

教育大学園情報誌30号

ズバリ!学長に聞きました。旭川校 千葉颯利さん 旭川校は教員免許の取得が卒業要件です。そうでありながら、教育大学における教員志望者の減少、採用試験を受ける人の減少がみられます。それについて、どのような考えをお持ちですか。蛇穴学長 教員志望者の減少についてですね。これは旭川校だけではなくて、釧路校も札幌校も減少しています。原因の一つは、入学時点ですでに先生になろうとする意識の低い学生が入学してきていることが挙げられます。釧路校の減少率が一番低いのですが、それは、入学時点での教員志望率の高さが一つの理由だと思います。釧路校は確かに入学時点で教員を希望する学生が多い。しかしその釧路校でさえ、二年・三年と学年が上がるに従って、志望者数は減るのです。 歯止めをかけなければいけないという気持ちは強く持っています。入試方法も変え、カリキュラムにも工夫を加え、という努力は続けています。それがなければ先生になる就職率も上がりません。 この傾向は北海道教育大学だけではなく、日本中どの地域でも教員志望者が少なくなってきています。その要因の一つは、あまりにも世の中全体が「教員の仕事はブラックだ」と言っていることだと思います。しかし、学校の先生にはやりがいや魅力は十分にあるはずなので、あれは一面をとらえて言い過ぎだと私は思います。 私は学長になる前に旭川校で学生を教えていて、百人以上卒業生を出しましたが、何人かの卒業生とはLINEやメールでやりとりをし、たまにはお酒でも飲みましょうという話もあります。そんな時、私は旭川に行って卒業生と飲むのですが、教員としての苦労話だけでなく、進路指導や部活動を通して面倒を見た生徒の話なども、思い出深く話すのを聞いています。卒業生自身の成長にも驚かされますが、それ以上に、教師という職に生き甲斐を感じている様子に、そしていつも向上心を持って前を向いていることに私は頭が下がります。彼らとは在学当時も色々な話、例えば教育に対する不満や卒論で扱うべきテーマなども、長い時には昼の二時くらいから学生と話し始めて、夕食も取らずに夜九時、十時まで話し続けたことあります。そこまで学生と付き合ったことが、今になってみれば、非常に良い経験となりました。 小学校、中学校の先生も何年間担任をもつかわかりませんけれど、一生懸命に一人一人の子供を見ながら何とかしてやろうという風に頑張るはずです。その後も自分のところから離れてどう成長したのかが気になるはずです。人を育てるという意味では、大事な時期を預かっています。だから、やりがいは絶対にあるはずです。ものすごく荒れたクラスを担当しなければならないとか、苦労もありますが、それに向かっていく気概や、教員としての基礎がしっかりしていれば、私は大丈夫だと思う。ぜひ本学の学生さんにはひ弱にならず、力強く育って欲しいと思います。釧路校 森結華子さん 教員養成系の大学で学んでいる学生に対して、こういう視点を持った方がいい、こういうことを期待したいという思いがあればさらにお話をお聞きしたいです。蛇穴学長 いくつかありますが、教員養成系での学びというように絞ると、二つのことが浮かんできます。一つは、子供理解、もう少し広げると人間理解です。人間とはどういう存在であるのか、色々な視点から追求して欲しいと思います。そのことを知らずして教育者にはなれませんから、自分なりの結論でも構わないので、それを見出して欲しい。 そしてもう一つは基本的な研究力を身につけて欲しい。これは、課題を見出す力と、客観的に議論する力、そして客観的に評価・検証する力を養うことになります。研究論文やレポートを書くとき、結果と意見の書き分けを訓練しなくてはなりません。結果には事実だけを書きます。感想はいりません。何をやったら何が出てきたのか。あるいは何を調べたら何と書いてあったのか、その結果だけを書くということです。意見あるいは考察では、他の文献を広く読むことで、自分が得た結果とどういうつながりがあるのかを議論します。「自分はこういう根拠を持って、こう考えます」と主張しつつ、相手の根拠にも耳を傾け、どちらの考え方がより良いのか客観的なデータをもとに冷静に議論ができるようになるというのが私のいう基本的な研究力を鍛えるという意味です。大学で身につけてほしいことは、この二つが大きい柱だと思います。釧路校 川本友華さん 私は今三年生で、先日、教育実習を終えました。釧路校では一年生の頃からフィールド研究があり、学校現場に行くことが多いです。そのおかげで、フィールド研究で学んだことが教育実習に活かすことができました。このように、釧路校ならではのカリキュラムに魅力を感じていますが、学長が考える釧路校の良さは何ですか?蛇穴学長 一つ目は、先生一人一人と学生の距離がグッと密接であると感じます。各校の卒業式に行き、先生と学生の関係がもっとも密接だと感じたのが釧路校でした。 二つ目は、釧路校は学校現場での体験的活動に力を入れていることです。平均時間を比べると、札幌校や旭川校は七、八〇〇時間程ですが、釧路校は一〇〇〇時間あります。特に、小規模校での実習が学生の教職意欲を高めているようです。経験談として、新入生の段階で一度小規模の学校に行き、もう一度小規模校実習で、同じ学校に行った学生さんの話を聞きました。実習先の生徒の成長が時間を追って体験できる、これは他のキャンパスにはない魅力です。教育実習のあり方ついては、小規模校実習を含めて釧路校には大いに学ぶところがありますね。函館校 佐々木柚香さん 函館校の学生が国内外に出て活動することについて、どう感じていらっしゃいますか。蛇穴学長 函館の歴史を思い返すと、「開国」したときに開いた港の一つです。函館市役所の方も「函館は水産が盛んだが、国際観光都市宣言も出している。国際都市を標榜するなら国際的にコミュニケーションを取れなければいけない」と話していました。そのよう4