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概要

教育大学園情報誌30号

札幌キャンパス視察してきました。オランダでは「コーチング」を基盤とした多種多様な教育法を通して「探究心」「自主性」「トライ&エラーで困難に立ち向かう意欲」の育成を目指しています。 オランダでは五?十八歳の児童は義務教育が課せられ、児童一人一人の能力差に合わせて留年や飛び級の制度があります。一クラス二十五?三十人の学級を教師二人で担任をし、授業は十五時に終わり、教員も十六時には必ず退勤します。実際に視察した小学校では「イエナプラン」と「多重知性論」を用いた学級経営が行われていました。異なる学年が同じ教室で学習する「異年齢クラス編成」で構成された教室に、机と椅子が円形に配置され、いつでも話し合いやサークル対話ができるようになっています。時間割は子どもたち自身で授業を選択し、組み立てます。 次に見学した中高一貫校では「正解のない問い」をキーワードに「テクナジウム」という新しい教育手法を取り入れています。午前は教師がティーチングを行う教科指導、午後は教師がコーチングをしながら実際の社会問題について解決策をみんなで考える「プロジェクト授業」を行っています。 最後に視察した教員養成大学では、大学で学ぶ理論と教育実習での実践との往還としてコーチングによる主体的な学びがあります。オランダの教員養成大学では一年生から週一回のペースで教育実習を行い、大学での学びの質を高めています。それらの往還となるコーチングは教授と学生間だけでなく、社会貢献として学生が子どもたちに継続的にコーチングを行う場面もあります。ティーチングだけを行うようなこれまでの教育は、今や動画サイトや授業動画配信アプリで十分なのです。そのため、これからの教育で必要とされているレポーターの声札幌校・教員養成課程・学校教育専攻・教育心理学分野3 年関口 実子(せきぐち みこ)のはコーチングにより子どもたちの学びをサポートし、いかにインスパイアさせるかという能力であるため、オランダの教員養成大学では「未来の教師の役割」について深く考えられた教育が行われています。 オランダでの教育視察を終え、クラウドファウンディングのリターン(お返し)として二人は全国各地で報告会や講演を行いました。さらに、越智さんは二〇一八年十二月二十一日に行われた、野村総合研究所主催の学生小論文コンテストで全国二位である優秀賞を受賞しました。「これまで自分たちの考え方に否定的な意見を受けることもあったが、今回このような形で認められ、受賞できたということが何よりもうれしい」と喜びをあらわにしています。 最後に今、進路に悩み、やりたいことが見つけられない教育大生に向けて長澤さんは「失敗はない、『未成功』があるのみ。『未成功』を積み重ねて成功を生み出すために、まずは一歩踏み出す行動力が大切」と語り、越智さんは「この世にやりたいことがない人なんていない。行動していないだけ。とにかくいろんなものを見て、いろんな人に会うことで、必ずやりたいことは見つかるはず」とエールを送りました。ちょうど進路に悩んでいた時期にお2人のお話を聞けてとても参考になりました。講演のために作ったスライドの資料や、現地で撮影した動画なども見せていただけてすごく分かりやすかったです。私もこのままではいけないと、やる気になりました。レポーターの声札幌校・教員養成課程・芸術体育教育専攻・図画工作・美術教育分野1年山縣 まる子(やまがた まるこ)取材をさせていただく中で、お2人の見た教育の世界に私ものめり込んでいました。何か目標のために積極的に行動することの大切さを教えていただいた気がします。さらなる挑戦04東京での報告会の様子学生小論文コンテストで優秀賞に輝いた越智さん15 Spring/Summer 2019 No.30